その疲れ、食事とマインドフルネスで改善!(前編)

新生活やコロナの影響でなんとなく感じる疲れ・ストレスを食事とマインドフルネスで軽減!

映画「always三丁目の夕日」の時代設定は昭和33年(1958年)で、自動車や家電が家庭に普及し始める時代。それからわずか60年余りで私たちの生活は激変しました。掃除はロボットがしてくれるし、食材も長持ちするようになったし、簡単に食事も温めることができるし、たくさんの機械で自分が動かずとも楽して生活ができるようになりました。食事もご飯お味噌汁、お漬物、魚や野菜たっぷりの和食からパスタ・肉やファストフードなど西洋の食事が主流になり、いつでも食べられる豊食(飽食)の時代です。豊かな食生活になり生活様式が変わり、昭和時代のような和食中心の家族でわいわいと食卓を囲む家庭は少なくなってきました。現代の生活がどのように人々の体と心に影響があるのか、研究で明らかになりつつあります。美味しいものをたくさん知ってしまった現代でalway3丁目の夕日のような昭和の食事をすることは難しいと思いますが、病気や不調にならない、体がより正しく生命活動を維持できるようにする習慣を知ることが大切です。

腸内環境を整える

その一つが腸内環境が及ぼす体と心への影響です。腸は「第二の脳」と言われ、脳からの指令がなくとも腸独自の判断で活動ができます。言い換えれば「脳も腸からの指令で動いている」ともいえるのです。
緊張で脳にストレスがかかるとお腹を壊したり、お腹の調子が悪いと気分も落ち込んだり、腸と脳(心)との関係は昔から言われていることですね。
大腸には、多くの神経細胞があり、交感神経や副交感神経の神経細胞を介して、腸と脳はつながっています。
腸は、腸壁から栄養を吸収することと、多くの免疫細胞によって危険な病原体や有害物質など食物に含まれる危険な侵入物から身を守っています。そしてこれらは腸内に存在する腸内フローラ(善玉菌、悪玉菌、日和見菌)の状態によって大きな影響をうけます。(日和見菌は、腸内環境によって善玉菌にも悪玉菌にもなる菌です。)善玉菌を増やし、悪玉菌を少なくすることは良く言われていることですね。では、なぜ腸内環境が重要なのでしょうか。

腸内では100種類以上の腸内細菌によって未消化物の分解や発酵が行われています。有害な細菌やウィルスから体を守る免疫細胞が正常に働くためにも腸内環境がきれいな状態である必要があります。
腸壁は粘液で覆われており、有害物質や細菌が腸壁を通らないよう守っています。消化能力を超えた量のたんぱく質(特に肉)の食事や食物繊維不足、精神的なストレス、痛み止めや抗生物質の服用などで、粘液はバリア機能が十分に果たせなくなります。そうすると腸壁にすき間ができ、本来腸壁を通るはずのないウィルス、細菌、バクテリア、水銀などの重金属、化学物質(農薬や食品添加物)などが入り、血液に乗って全身の細胞に運ばれます。
このような腸管にすき間ができ、バリア機能を果たせない状態は、様々な症状を引き起こす「リーキーガット症候群」や「腸管壁浸潤症候群」と呼ばれます。

  • アレルギー症状が出る
  • 肌のトラブルが絶えない
  • おなかが張る、消化不良、便秘、下痢
  • 集中力が続かない
  • 情緒が安定しない
  • 疲労感が抜けない
  • よく眠れない
  • よく風邪をひく

腸の健康を改善することで良くありそうな様々な幅広い愁訴を解消する可能性があることも広く認識されるようになっています。

腸内環境を改善するには・・・

1)よく噛む
2)ゆっくり食べる
3)ながら食いをしない
4)食べ過ぎない
5)食事を楽しむ
6)食物繊維や発酵食品を食べる
7)加工食品や精製食品の食べる量を減らす
8)痛み止めや胃腸剤の服用を減らす

ヨーグルトや納豆を食べるとか、玄米やもち麦を食べるなど食材を食べることも大切ですが、その前に食べ方の習慣が誤っているとせっかく食べた食物繊維や発酵食品は十分に体内に吸収されなく、無駄になってしまいます。
1)~5)をまず習慣づけることから始めます。これらの習慣は、胃腸の負担を軽くし、食べたものが体内で消化されやすくするためです。よく噛むことで口の中で唾液が分泌され、第一段階の消化が始まります。見て目で楽しみ、香りを楽しみ、美味しさを感じ、五感を使って食べることで副交感神経が働き、消化にかかる全ての組織を活性化して、消化能力を高めるのです。唾液の分泌がトリガーとなり、胃・膵臓・十二指腸などの消化酵素が産生されますが、その量は下に下がるほど減っていきます。

胃腸に負担のかからない食事の習慣がついたら、次は食べるものに気を使いましょう。
6)食物繊維は穀物、いも、豆、野菜、海藻、果物といった植物性食品に多く含まれています。含有の栄養素はそれぞれ異なりますので、様々な食材を意識して摂り入れましょう。

発酵食品は、悪玉菌の増殖を抑制する【乳酸菌】と血行促進や代謝アップする【麹菌】飲む点滴<甘酒>、バルサミコ酢などに含まれている【酢酸菌】、糖分やアルコールをガスに分解する作用がある【酵母菌】をバランスよく食べることで腸内細菌を豊かにします。

腸内環境に良い食べ物を食べる習慣がついたら、次は腸内環境を悪くする習慣を減らします。
7)化学合成添加物を多種類使用した加工食品は、腸内で吸収されず腸管内で溜まり腐敗すると、善玉菌が減り、悪玉菌の増殖につながります。

8)感染症の治療には有用な抗生物質ですが、使いすぎると腸内の有用菌もそうでない菌も区別なく殺し、腸内環境を乱します。化学合成添加物の多い加工食品などを摂ると善玉菌があったところに悪玉菌が増殖してしまうことになります。なお、ウィルス性の風邪には抗生物質(抗菌薬)は効きません。

ここまで腸内環境を整えることで疲労感が抜けないなどの愁訴を解消する内容をお伝えしました。
後半は、心の側面からのアプローチでストレスを軽減、集中力がアップするなどの効果をお伝えします。