みなさんは個性と聞いてどのようなものを思い浮かべられますか。
生まれつき個人ごとに明確に分かれており基本的には一生変わらない血液型のようなものでしょうか? それとも、誰しもが共通して持つ特性の量や程度に違いがあり、「パッションがある」「ネアカ」といった性質のように、見る人や場面など物差しの当て方で変化するものでしょうか?
「前者をタイプ論(類型)といい、後者を特性論という」と奥田氏は話します。今の世の中で支配的なのはどちらかと言えば特性論でしょう。しかし、「タイプ論も忘れてはならない」(奥田氏)。
特性論に乗っ取り、人は社会に求められる仮面(ペルソナ)を被ります。それが固有のタイプ(キャラクター)と合致していれば強みとなりますが、ズレがあれば強要されるのは辛いもの。「企業の人材育成はペルソナの育成に偏っていないでしょうか?」と奥田氏は問いかけます。
人間は事実よりも先入観を優先してしまう傾向──確証バイアスがあります。ヒューマン・ラポール研究所のクライアント企業30社を対象に行った調査で明らかになったのが「データ上、採用面接に確証バイアスは影響している」という事実です。
奥田氏曰く、「これは経営問題」。社員の多くが確証バイアスによりストレスにさらされた組織は、生産性が著しく低下するでしょう。ここで、自身の生まれながらのタイプを知るためのツールとしてエゴグラムが紹介されました。ストレスは必ずしも「悪」ではなく、程よいストレスがかかった「ユーストレス」状態が最もパフォーマンスが高まりやすいということです。
まずはタイプにあった言語で相手を承認し、関係構築を進めましょう。「個性という点からも社員の成長支援をしてみてください」と奥田氏は講義内容をまとめました。