腸内環境を整える Part1:消化
最近よく目にする「腸活」ですが、軟便・下痢・便秘などの便通改善につながり、それにより美肌になったり、免疫機能を上げる効果もあります。しかし、それ以上の効果が得られるだけでなく、全身・心の健康に繋がることが最近ではわかってきています。
まず腸の大事な働きは、「消化」と「吸収」で、食べる前からその活動は体内で始まっています。例えば決まった時間に朝食を食べていると、体内時計によって、朝食の数時間前から消化液が分泌され始め、体が準備していることが最近の研究で明らかになっています。(朝食の時間が乱れると体内時計も乱れ、肥満や脂質代謝に影響が出るそうです。)
そもそも、「腸」とは管で、「食道」「胃」「十二指腸」「小腸」「大腸」とさまざまな臓器にまたがっており、それぞれが連動しています。そして、腸の中はまだ「体の外」でそれぞれの臓器の働きによって、私たちが口から食べた食べ物を変形させたり(咀嚼)、溶かしたり、濾したりしながら「体にいい物質」を吸収し、「体の役に立たないもの・ダメージになるもの・不要なもの」を排除します。ビタミンやミネラルなどの「体にいい物質」の健康に必要な成分は小腸や大腸の絨毛を通って血液へ送られ、「体の中」に入っていきます。この時点で、初めて食べた物の成分が体の中に入るのです。しかし、現代の飽食の時代、常に食べる物が周りにあり、様々な食品・環境・薬やストレスによって、または間違った食習慣によって正常に働かなくなり、健康上のリスクが生じることになります。
食べた物が体の中に入れるのは分子レベルに分解された状態です。分子レベルに分解するにはデンプン・たんぱく質・脂質などそれぞれに消化酵素が必要で、食べた量とその消化酵素の質と量によって消化能力に差が出てきます。
消化酵素(=消化能力)の低下の原因
・食事からたんぱく質が十分に摂れていない
・ストレス
・胃酸の不足
消化酵素はそれぞれの臓器での消化に最適なpH(*)があり、胃酸は胃や小腸での消化酵素のpH値をコントロールしています。日本人は欧米人と比べて胃酸の分泌量は少ないとされています。(日本人は胃酸が多すぎるという認識が強いですが…)
欧米のホリスティックなクリニックでは胃酸のチェックはごく普通におこなわれているそうで、胃酸不足は様々な症状に関連していて、胃酸を増やすことで改善されることが多いと医師も実感しているそうです。
胃酸不足が引き起こす不調
・病原菌の増殖:バクテリア、胃がん、胃潰瘍
・たんぱく質吸収低下:貧血、むくみ、筋力低下、抵抗力の低下、食欲不振、疲労・脱力・虚弱、イライラ・うつ
・ビタミン/ミネラル吸収低下:神経機能の低下、骨がもろくなる、抵抗力の低下、疲労・脱力