自律と成長を促進するHRテクノロジーFuel50 特別対談 人材マネジメントの潮流 ~変えるべきことと変えざるべきこと~ (第3回)

Fuel50-eye前回に引き続き、第3回となる守島先生と楠田先生の対談の対談をお送りします。
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対談内容サマリー

第1回 ・ シリコンバレーのグローバル企業に学ぶ働き方の変化
・ 日本企業が変わらなければいけない理由
・ ワークエンゲージメントがアウトプットを上げる
第2回 ・ 仕事自律ありきのキャリア自律
・ 価値観の多様化とコミュニケーション変革
第3回 ・ 2種類の心理的安全性
・ 人事が変えるべきことと変えざるべきこと

 

2種類の心理的安全性

楠田:先日、全国のキャリアセンターと大企業の人事 680 名が参加したオンラインセミナーでモデレーターを担当しました。その場で聞いた話なのですが、最終面接で面接官にフィードバックを求める学生が複数いるとのことです。ジェネレーションZは承認欲求が高い。このような人々に対しては、入社後も1on1などでこまめにフィードバックをしていく必要性があります。

守島:それが彼らの心理的安全なのです。自分がどういう宇宙にいるのかを確認したい。自分の場所を確定したい。パッシブな(受け身の)心理的安全性です。グーグルの言ってる心理的安全とは少し異なります。このような状況とともに、マネージャーの役割は変化していきます。そして、リモート化・グローバル化が進むほど、上司部下間で明確に仕事内容を握り合うことの重要性も高まります。従来は「あれやっといてね。」という指示だった。これからは、上司が「いつまでに、何を、これくらいの完成度で」と伝えなければなりません。よく「指示待ち」と部下が揶揄されることがありますが、曖昧な指示にもかかわらず自分で考えて動ける部下は一握りです。きちんと仕事内容を指示すること、目標を設定することが上司に求められます。

人事が変えるべきことと変えざるべきこと

楠田:これからは分散した場所での人材マネジメントが試されます。人事は何を残して、何を変えなければならないでしょうか。

守島:「じんざい」とは「人財、人材、人在、人罪」の4種類があると言われますが、ただそこにいるだけの「人在」、そして組織に悪影響を及ぼす「人罪」ではいけません。材料としての人材を、価値のある「人財」に変えてく作業が、人材マネジメントです。人材マネジメントの基本は変わりませんが、やり方は時代によって変わってきました。従来は正社員として雇用を保証し教育するから、会社の言うことは何でもやってよねという世界でしたが、これは通じなくなってきています。これからは一人ひとりが自分の仕事を持ち、その中で専門性を発揮して生きてい

くという世界になってきます。

楠田:やり方が変わるとなると、人事も制度や仕組みを作るだけでは難しい。作った制度が現場できちんと機能しているか見ていくことが重要です。シリコンバレーのグローバル企業であるセールスフォースドットコムやシスコシステムズの資料をみると共通点があることに気づきます。まずはパーパスがあることです。これは会社のパーパス、組織のパーパス、個人のパーパスがあってよいでしょう。次に、カルチャーがある。これは対話を行うカルチャーのことです。その次にテクノロジーが来る。このテクノロジーは、HRテクノロジーを指すのですが、あくまでパーパスとカルチャーの土台があって、プラスとしてテクノロジーがある。そして、最後にデータを取って分析していく。このパーパス、カルチャー、テクノロジー、データがシリコンバレーの人材マネジメントの重要な要素です。
守島:シリコンバレーのような流動的な労働市場では、給与やポジションだけでは人は採用・リテインできません。個人と会社のパーパスがどれだけ一致しているかを示すことが人事の仕事です。そして、入社し、勤務を継続するために必要となるのがエクスペリエンス。個人の経験をどこまで会社として良いものにするか。そのために、HRテクノロジーやデータが利用されるのです。そして、全体を動かすのがカルチャーです。これまでも、日本の人事はパーパスもカルチャーも大切にしながら人材マネジメントを行ってきました。しかしながら、価値観の多様化、グローバル化、事業の多様化により、テクノロジーの力が必要となるでしょう。パーパスとカルチャーはこれからの日本企業にとってますます重要になっていきます。しかしながら、日本企業の難しい点は、パーパスとカルチャーを浸透させようとすると、どのような制度と研修があれば実現できるのかという発想になってしまうことです。

楠田:その議論には持っていきたくないですね。

守島:西海岸が優れている点は、ハードでなくソフトで人を動かしていることです。日本はまず大企業が変わらなければ、中小企業が変われないという思い込みがあります。そんなことしていたら、アメリカ中西部のラストベルト領域のように日本全体が停滞してしまうでしょう。かつて製造業で成り立ってきた私たちは作るものがなくなってしまうのですから。

楠田:パンデミックの影響で我々は世界共通の状況に置かれています。私たち日本企業はGDPの高いカリフォルニアのグローバル企業に学びながら、在宅で分散している社員への新たなる人材のマネジメントをスピーディーにソフト面で「パーパス、カルチャー、テクノロジー、データ」という方向に向かって、変えていかなければなりません。Fuel50が提供するテクノロジーの力を借りてみるのも一つの有効な手段になりそうですね。

(終わり)

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