work Delight Picks

新年度が始まり、4月もあっという間に3週間が経とうとしていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。春のバケーションで海外からの旅行者も増え、人の量もコロナ前に戻りつつありますね。新年度により様々な変化があった方もいらっしゃると思います。そんな変化の時期、忙しい時期だからこそ、一休みも大切。心と体を労わるお時間を、忘れずに取ってあげてくださいね。-Work Delight Picks編集室より-

-目次ーーーーーーーーーーー
・HR最前線
生成AIの衝撃、人事の未来はどう変わる?
・”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報
自分軸で生きるとは~自分自身に誠実に生きる~
・今月のPick Book!
お金のいらない国4 ~学校は?教育は?(『地球村』出版)

HR最前線

生成AIの衝撃、人事の未来はどう変わる?
最近話題となっているChatGPTをはじめとした生成AIについて、ご興味をお持ちの方も多いことと存じます。今回のメルマガでは生成AIが人事業務に与えるインパクトについて予測をお届けしたいと思います。

ルーティン業務が激減、人事の仕事はより人そのものにフォーカス
まず、汎用性の高いAIアシスタントの登場によっていわゆるオペレーショナル業務の割合は数年程度で劇的に圧縮されるでしょう。
既に多くの企業で導入が進んでいる社内手続きや問い合わせ対応の自動化は更に加速し、これまでとは次元の違うレベルでAIチャットボットの活用が進むことが予想されます。

企業規模に比例して作業量が膨大になる人事データの集約やクレンジングなどについても、AIの対応能力拡大に伴い、実用的なレベルで自動化が進んでいくものと思われます。

更にそれらの人事データの分析・活用についてもAIが力を発揮し、データに基づいた課題の抽出や対策の洗い出しなどもAIとの対話を通じて、方向性を固めていく方式が主流になっていくでしょう。(実際、ピープルアナリティクス大手のVisierは以前から対話型のUIを導入していました)

人材開発領域では真のパーソナライズが実現
人材開発の領域についても、生成AIが大きな影響を与えることが期待されます。個人サービス領域では既にDuolingoが、ロールプレイ問題の自動生成やパーソナライズされた解説などの機能の提供を開始しています。B2B領域についてもすぐに同様のラーニングサービスが登場すると予想され、新しいスキルの習得効率は今後数年で飛躍的に向上するでしょう。

また近年HR Tech業界でトレンドとなっている「社員一人ひとりにフォーカスした自律的なキャリア開発の支援」も、生成AIの登場で更に高度化・普及するものと思われます。
従来のパーソナライズは事前定義したパターンに基づく限定的な物でしたが、今後は個人のスキルやモチベーションを元にした「テーラーメイド対応」も可能になっていくと予想されます。キャリアコンサルタントAIとの対話の中で、自身のキャリアプランを容易に構築できるようになっていくのも、そう遠くない将来かもしれません。

採用領域では引き続き倫理的問題への対応が重要に
タレンタが代理店を務めるHireVueを始め、採用選考も早くからAIが活用されてきた領域です。現時点でも汎用的な職務能力(コンピテンシー)の見極めという観点では既に人間に負けずとも劣らない能力を発揮しており、生成AIの影響は選考精度よりも主に候補者体験の向上に現れるのではないかと思います。例えば、自動生成されたロールプレイ問題による実務能力テストや、対話ベースのAI面接などでしょうか。

一方、この領域はAIの評価が候補者の直接的なデメリットに直結するため、倫理的な観点から引き続き慎重な対応が企業に求められそうです。タレンタでもこれまで何度か紹介しているように欧米では既にAI倫理ガイドラインが制定されつつあります。近い将来日本も同じ状況になることはまず間違いありません。また、判断の責任を負うという意味でも、人間による判断が完全に無くなることはないでしょう。

終わりに ~これから人間に求められる資質とは?~
AI技術の進歩は本当に目覚ましく、産業革命に匹敵するような変化が始まりつつあるようにさえ感じます。もしかすると近いうちに更なる技術革新によって「働く」という概念そのものが変わってしまうようなこともあり得るかもしれません。

しかし、生成AIがどれだけ自然で高度なアウトプットを出すようになったとしても、自らの意志に基づいて自律的に行動することはありません。AIに対して方向性を定めて、自らのモチベーションで物事をやり切るといった「意志の力」は依然として人間の専門領域です。

単に受け身で仕事をこなすだけではなく、楽しみながら自律的に動いていくことこそが、これからのAI時代を生きる人間に求められる資質なのではないでしょうか。

そして、そのような社員を増やし、組織そのものを方向づけていくのは、他ならぬ人事の仕事です。AI技術の恩恵を正しく活用しながら人そのものにフォーカスしていくことで、人事の仕事はより一層戦略的なものになっていくことでしょう。

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

自分軸で生きるとは~自分自身に誠実に生きる~
このWork Delight Picksのテーマである”自分軸で人生を切り開く”とはどういうことだと思われますか?自分がやりたいことだけをやることでしょうか。

”今”の自分があるのは、過去の自分が選択して行動を起こした結果です。人の心は移り行くものです。その時、自分の「心」が選択したことでしょうか。個人的には、ある不安を払拭するため、こちらの方が楽だから、あの人がこう言ったから、世間的にこちらを選択するだろう等の理由でなんとなく過ごしていたことが多かったと思います。

私は、コロナウィルスのパンデミック以前から春・秋の花粉症でマスク、冬は風邪・乾燥予防でマスクしていて、真夏以外はマスク生活でした。また痛む箇所が変わりながら、体のどこかしらが痛む日々で、決定的な不調もない中、アレルギーや痛み止めの薬やビタミン剤の服用が多い毎日でした。ある時、「長い人生、これから何十年もこの薬や花粉症が原因で思うように動くこともできず、無理して仕事をしたり、体調の悪い日々を過ごすのか?」と思い、インターネットでアレルギー改善など色々調べ、食べる物と心の両面のケアで健康になるというプログラムを見つけました。それが”ホリスティック栄養学”でした。

タレンタのミッションである”Work Happy!”は心と体の健康がベースになると考えていますので、これだ!と飛びつきそうになりましたが、よくよくカリキュラムを見ると、まず申込時の出願書に受講する目的のエッセイの提出、各プログラムのエッセイ(3週間おき)の提出に、3日間の宿泊研修が含まれる約1年間の勉強でした。。それまでの自分でしたら、苦手なものばかりで願書にエッセイの時点で「自分には書けない、面倒くさい」とやめていたと思います。さらに、勉強をするということは生活面においても食を変えていかなければなりません。飽きっぽい自分に続くのだろうか。。。色々続かない理由を考えていましたが、「まだ見ぬ未来を不安に思っても現状のアレルギーや不調は改善しない。”今”やることをやろう」と自分に食生活を変えるトライアル期間を設定して、最終的にホリスティック栄養学の勉強をすることに決めました。1番最初の「健康になる」という気持ちに戻って、行動を起こしたのです。読書感想文でさえも苦手だった私がこのようなコラムを書いていることも自分の心に気づき、行動を起こした結果です。

ある出来事に対して発生した感情は、頭の中で会話が始まったり、関連する事柄に展開していきます。それらはこれまで過ごしてきた時間の中で培われた思考の癖や親や学校の先生、友達など身近な関係性の中で出来上がった自動的に起こる思考回路によるものです。そして、それらは一番最初に発生した感情とは関係のないものに移り変わっています。

上記のように、健康になりたい→健康について調べる→面倒くさい→飽きっぽいと思考は変わってきています。でも、1番最初の健康になりたいという感情に従って行動したことで、の時の自分の「心」が選択したのです。こうした1番最初の心に気づき(思い立ったが吉日とは異なる)、きちんと考えて生きていくことが「自分軸で人生を切り開く、自分軸で生きる」ことだと思います。

これからの時代は自分の心を大切にしていくことが生き抜く術だと思います。自分の心に寄り添っていきましょう。

今月のPick Book!

お金のいらない国4 学校は?教育は?
『地球村』出版
長島龍人 著

以前にご紹介した「お金のいらない国」第一弾から、さらに根本の教育の問題をついた第四弾の物語をご紹介します。「お金のいらない国」とは、お金という紙幣制度の概念のない国。その仮想の国に迷い込んだ主人公はお金という物が全てのゆがみを作ってしまったことを悟ります。お金という概念がなければ、自分はどんな仕事についているだろう?
もしかすると、この問いかけをすることでその人の本質が見えてくるかもしれません。
が、現代の教育は何がやりたいかさえわからなくなる危うさも備えているようです。

<本書主人公の心の声より>
正解を覚えればよいという教育は自分で考える力をつけない。答えは決まっているのだから覚えるだけで考える必要はない。誰もが同じことを覚えさせられ、そこに疑問の入り込める余地はない。また、わからないことを質問すればいいから、依存が起きる。自立ができない。結果、自分が何をしたいかわからない、することが決められないという人間が作られる。

日本が行って来た戦後の兵隊教育は、何が目的だったのか考えさせられると共に、今後の全ての教育の在り方について深く考える機会を与えてくれる本です。
詰め込み教育、正解に辿り着くための暗記教育ではなく、自分自身が本来やりたいことがわかる、自由で自律した教育を一家庭からでも是非見直していきたいですね。。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Work Delight Picks vol.15
HR最前線
「フィードバックループを閉じる」(Closing the Feedback Loop)とは?
Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報 ウェルビーイングでの考察―その2
今月のPick Book!  一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全(河出書房新社) ジュリー・スミス著

Work Delight Picks vol.14
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Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報 ウェルビーイングでの考察―その1
今月のPick Book! 街道をゆく1 湖西のみち(朝日新聞出版) 司馬遼太郎著

Work Delight Picks vol.13
HR最前線 
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Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報 細胞レベルで健康になる
今月のPick Book! 全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発(日本経済新聞出版) 守島基博著