work Delight Picks

東京でも氷点下を記録している2月ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。まだまだ寒い日が続いていますが、梅の花が咲いたり、桜の蕾が膨らんできていて確実に春に向けて季節は進んでいます。休憩時間などに散歩に出て春を見つけてみませんか。-Work Delight Picks編集室より-

-目次ーーーーーーーーーーー
HR最前線
産業組織心理学に裏打ちされた採用とは
Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

ウェルビーイングでの考察―その1
今月のPick Book!
街道をゆく1 湖西のみち(朝日新聞出版) 司馬遼太郎著

HR最前線

産業組織心理学に裏打ちされた採用とは
先日、HireVue取締役 チーフサイコロジスト ネイサン・モンドラゴン博士が初来日し、インターネットラジオ『楠田祐の人事セントラルステーション』に出演いたしました。産業組織心理学者であるネイサンは、HCM分野での豊富な経験と実績を持ち、1996年、世界初のオンラインアセスメント(適性検査)の作成と提供をリードしました。

現在も産業組織心理学者の立場でオンラインアセスメントの研究とその開発をけん引しています。今回ラジオでは、産業組織心理学の視点での昨今の採用について語っていただきました。

「世界中の就労人口が減ってきているなか、適切な1人の人を採用するということが、そんなに良くない人を5人排除するということよりも、はるかに重要になってきています。しかし、面接官が応募者が面接に来たときに少し話しただけで、この人は良くないなと思うと落とすための質問ばかりしてしまうというのは、日本でもグローバルでも今でも発生する、メジャーな問題です。あるリサーチでは、面接官は最初の90秒で面接している相手が良いか悪いかを判断してしまうというデータがあるほど。質問を「構造化する」ということが、それを防ぐ一助になります。「何を質問するか」だけでなく、「どのように評価するか」という点も構造化し、本当に自社に必要な人材を見極めることが重要です。その構造化と、また標準化にも産業組織心理学が大いに役立てられているのです。

ラジオではその他にも、産業組織心理学が入社後のオンボーディングをはじめその他の人事領域にどのように役立つのか語られています。是非ご聴取ください。

本ラジオ以外でも、ネイサンが産業組織心理学とテクノロジーに関して執筆した論文や記事は50を超え、BBC、Bloombergを含む主要報道各社の記事に30回以上掲載または引用されています。下記記事でも採用に関するリソースを掲載していますので、是非ご覧ください。(HireVue社 リソースページに遷移します)

Should You Evaluate ‘Culture Fit’? Rethinking Culture Fit Assessments
「カルチャーフィット」を評価すべきなのか?カルチャーフィットアセスメントを再考する
採用選考において「カルチャーフィット」の判定は重要な判断要素として測られます。この記事ではそもそもそのカルチャーとは何なのか、カルチャー「フィット」とは何か、から始まり、カルチャーフィットの判定には何を測定するのか、またその判定のリスクについてまでも提言されています。日本の皆様にも採用選考における判定内容の整理の一助としてお役立ていただける記事です。詳細はこちら(英文)(現在日本語化ページ準備中です)

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

ウェルビーイングでの考察―その1
最近よく聞くようになったウェルビーイングについて、近年、日本のGDPは世界第3位、しかし幸せ指数は、世界第57位(2021年発表)と言われています。
その幸せ指数がまさにウェルビーイングと連動していると考えられます。
身体的、精神的、社会的に良好な状態であることとされています。
それが幸福を意味するとされています。
ウェルネスという言葉もあります。毎日をより良く生きようとする生活態度、そのために健康に留意して、その維持増進を意識実践することと言われています。

タレンタの企業パーパスでは、『Work Happy!の世の中を創る』としております。
Work Happy!とは、仕事を通じて、人生を楽しく、また社会的、対人的意義を感じ、毎日ワクワクする、やりがい、生きがいを感じての生活、仕事環境に貢献していくことかと思っております。

そのための基礎、原点は自身の健康であり、その維持増進を常に意識することから始まるのではないでしょうか。ではまずその健康について考えてみましょう。
健康は食事、睡眠、運動が大きく左右していると言われています。
その一つ一つに強く意識した日常生活を送ることが大切かとわかるかと思いますが、果たしてその実践ができますでしょうか。忙しさ、心の余白の無さに、ついつい忘れてしまいがちでは。

では、食事について、人の身体は食べるものから作られているので、そこから考えていきましょう。たくさんの論文、著作で多くが語られていたり、TV番組で身体に良い食べ物が紹介されたりしています。その流行り廃りについ翻弄されがちでもあります。
日本は世界の長寿国でもあるので、その伝統的食生活は、世界の注目を集めていることも確かです。日本の風土にあった食べ物、生活習慣があるのでしょう。それが長寿を支えており、目覚ましい医学、医療体制があるからこそ、今の日本の長寿が実現してきているのかと思います。しかし、幸せ指数が57位とは。
健康がWork Happy!の基礎ではあるけれど、それだけでは十分な条件では無さそうです。

『健康で幸福感を感じながら、仕事にワクワク感を持って日々を過ごす』これに少しでも貢献できるには、どうしたら良いのでしょうか。単にITでの効率化、生産性アップ、コストダウンといったソリューションばかりでは無さそうです。
それも必要で、Work Happy! の実現には要素かと思います。仕事においては自分は貢献している、評価されているといった自他ともからの手応え感、達成感がやりがいをもたらすかと思います。その仕事を通して、社会的にも地球環境的にもプラスになるという確信が幸せ指数につながっていくのだと思います。幸せ指数は、正確には、HPI(Happy Planet Index)世界幸福度指数と言いますが、基準は以下と言われています。

(ウェルビーイング+平均寿命+国内格差)/エコロジカル・フットプリント=HPI

エコロジカル・フットプリントとは少し難しいですが、その意味は、国民が消費するエネルギー、水や食料などを持続的に提供し、国民が出す廃棄物を持続的に吸収するために必要な土地面積のこと
とはいえ、国別というより、個人に振り返ると、HPI発案財団曰く、下記のポイントが個人の幸福度に直結すると言っています。

1:人との繋がりを持つ(Connect)コミュニティの一員となる、自然と繋がる
2:アクティブでいる(Be active)毎日少しでも、散歩など運動する
3:好奇心を持つ(Take Notice)季節の移り変わりに気づく、五感を養う
4:新しいことを学び挑戦する(Keep learning)新しい考えに触れる
5:良いと思うことを人にしてあげる(Give)何か良いことと思うことをしてみる、身近な人に喜んでもらう。

3については、タレンタは毎週24節気72侯の季節の移り変わりに意識を持つようにしています。
自然に対して五感を養う、ですね。
この5つ、個人生活においても、会社の仕事上においても、意識すると幸福度が感じられるのではと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。

今月のPick Book!

人事・心理学などの書籍・記事から、編集室のお薦めを解説交えてお伝えします。

街道をゆく1 湖西のみち
(朝日新聞出版) 
司馬遼太郎著

国盗り物語(司馬遼太郎著)は日本人の戦国時代観に大きな影響を与えた歴史小説です。最近の研究により主人公の油商人松波庄九郎は斎藤道三ではなくその父親らしい(つまり「国盗り」は親子2代で達成したもの)ということがわかってきたのですが、多少事実とは違っていても著者の小説の魅力が衰えることはありません。その司馬遼太郎の歴史小説と並ぶ業績が紀行随筆です。週刊誌に連載された「街道をゆく」シリーズは43冊の単行本としてまとめられています。50年前に執筆されたものですが、それぞれの土地の風土と歴史的背景がいきいきと描写されています

「湖西(こせい)みち」は本シリーズの第1巻です。「近江」からスタートしたのは著者本人の強い希望だったようです。「近江(おうみ)というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう私には詩がはじまっているほどこの国が好きである。」という冒頭の一節からもそのことが伺えます。琵琶湖は江戸時代以降に定着した名称で、以前は淡海(あふみ)と呼ばれており、これが「おうみ」という国名の由来らしいです。本シリーズを片手に琵琶湖を巡ってみると「坂本、朽木谷、清水山、堅田村、塩津」、さらに東岸に回ると「賤ヶ岳の戦い、浅井の小谷城、秀吉の長浜、国友鉄炮村、姉川の戦い、観音寺崩れ、三成の佐和山、信長の安土城」と戦国大河ドラマの舞台が次々と登場し、興味の尽きることがありません。また琵琶湖は日本海と瀬戸内海を結ぶ水運+陸運ルートの要衝でした。大陸との交流も盛んで、周辺には新羅、百済に由来する寺院も残されています。これに関連して著者は古代日本の朝鮮半島との関係性、日本人の由来、日本語と朝鮮語の類似性についても考察を加えています。日本人はどこから来たのかというテーマは本シリーズを通して著者のライフワークとして問い続けられていきます。

「街道をゆく」はどの巻からでも読み始めることができます。旅行の計画が決まったら、その土地の巻を一冊、旅のお供にお連れください。現地での歴史的な視野が広がることは間違いありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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