あっという間に2022年もわずかになりました。皆さんは今年1年どんなことがありましたか?「楽しかったこと」・「頑張ったこと」・「やりたかったけど出来なかったこと」・「来年やりたいこと」テーマごとに振り返ってみると、あなたの2022年をより深く知ることができます。師が走るほど忙しいといわれる12月、なにかと忙しく感じる月ですが、あたたかい飲み物を飲みながら、今年1年を振り返ってみませんか。そうして新しい年を力いっぱい気持ちよく迎えられますように。-Work Delight Picks編集室より-

-目次ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
HR最前線
最近よく聞く”OKR” ありがちな誤解を解く
”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

脳疲労ーまずは呼吸に60秒集中する
今月のPick Book!(番外編)
「苦難にある者たちの告白」-ある患者の詩- 作者不明
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

HR最前線

最近よく聞く”OKR” ありがちな誤解を解く

OKR(Objectives and Key Results)は、Intel社の元CEOであるアンディ・グローブがIntel社内に導入して以来、GoogleやFacebookなど多くの企業で運用されている目標管理の手法です。国内でもメルカリなどベンチャー企業を中心に活用が広がっており名前を耳にされたことがあるという方も多いのではないでしょうか

OKRの概要については、Googleのre:Workを始めとした多くのページで紹介されているので割愛させて頂き、今回は「OKRにまつわる3つの誤解」について紹介・解説していきます。

1.OKRとはMBO(Management by Objectives)に代わる「評価制度」である
OKRは「目標管理」の手法であって「評価制度」ではありません。それどころかOKRの目標は評価と明確に切り分けることが強く推奨されています。
OKRはメンバー一人ひとりのチャレンジを促進するための手法ですが、達成率と評価が連動してしまうと、保守的な目標設定を行うインセンティブが働いてしまい、本末転倒な結果となってしまいます。(OKRを運用する企業では、目標達成に対するプロセスや、個人の成長なども加味した別個の評価指標使った評価制度を併用することが多いです)

2.OKRは極めて高い目標(ムーンショット)の達成を目的として導入される
「高い目標を掲げる」こと自体が注目されがちですが、OKRの真の価値は社員全員の方向性をそろえるアラインメント、優先事項に注力するフォーカスの効果にあります。高い目標を掲げるのは、目標という旗の下で会社としての優先順位を明確化し、目標以外の業務にかける労力を自然に減らしていくためとも言えます。
また、チームやメンバーの実態にそぐわない高い目標を課してしまうと「無茶なノルマを課し、メンバーを限界までこき使う」というように受け取られてしまい、全く効果的ではありません。個人のOKRを設定する際は、

  • メンバーの内的動機に順ずる「ワクワクする目標」となっている

  • 「頑張ればギリギリ達成できそう…!」というレベル(いわゆるストレッチゾーン)に設定されている

という条件を満たしていることが理想的です。さらに1on1などを通じて、上司が部下の成功を支援するような関係性を構築することも、OKRの真価を発揮させるためには必要不可欠でしょう。

3.上位目標からツリー形式で目標がブレイクダウンされていく
各チーム、メンバーの目標は上位の目標と紐づく必要はありますが、以下の例のように厳密なツリー構造を取る必要はありません。ツリー構造にこだわると目標設定が硬直的となり、組織のサイロ化を助長したり、目標設定のリードタイムを不要に延ばす原因になったりします。OKRの目的は全社の労力の整合性を取ることです。上位の目標に全く結びつかない個人目標というのはNGですが、他チームやより上位の目標と紐づくようなことは全く問題ありません。(水平連携を促進するため、むしろこのような設定の方が好ましいくらいです)

また、目標はトップダウンとボトムアップの半々程度が適切とされています。変化の激しい昨今、チャンスやピンチにいち早く気づくことができるのは現場のメンバーです。全社の目標に対するHowをボトムアップで取り入れていくことで柔軟性や実現可能性の高いアクションプランを立てていくことができます。

OKRはシンプルな手法ですが、全社の足並みをそろえ、メンバー一人ひとりのエンゲージメントを高めることのできる目標管理手法です。「目標管理が形骸化している」「社員のエンゲージメントや自発性を高めたい」というような課題を抱えていらっしゃる方はぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか?

なお、タレンタでは現在OKRについての意識調査を行っております。以下から簡単なアンケートにご協力頂けますと大変幸いでございます。

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

米国の最新ホリスティック栄養学に基づく心と体の健康情報をお伝えします。

脳疲労ーまずは呼吸に60秒集中する
2022年7月のWork Delight Picksでもお伝えした「脳疲労」ですが、脳が疲れている状態のことで、運動の後の筋肉痛のように痛みとして感じることがないため、気づきにくいものです。自律神経の乱れからくる脳疲労や、情報過多な現代では常に情報が飛び交っており、ちょっとしたすきま時間にスマホでSNSやニュース、メール、動画など常に情報と接しています。次々と入ってくる情報に加え、同時に行っている仕事や家事、考え事など複数のことを同時に処理する「マルチタスク」の状態も脳疲労の要因になります。複数のことを同時に処理するマルチタスクは脳の消費エネルギーの約6割を使っていると言われています。多くのエネルギーを使うということはそれだけ脳を疲労させるということになります。

脳疲労は現代病のひとつ。
今、目の前の仕事ややるべきことをやりながら、未来の不安や過去を振り返り「あの時こうすれば良かった、あれを言わなければよかった・・・」などネガティブな感情も持ってしまいます。またテレビからは物価高や世界の紛争などネガティブな情報も入ってきます。脳が疲れると脳の眼窩前頭野(がんかぜんとうや)という部位から「休め」というシグナルが送られますが、痛みとしての認識はないために気づかなかったり、無視して体に悪影響を起こし、うつ病や過敏性腸症候群、慢性疲労や糖尿病・癌など様々な病気を引き起こす原因となります。大量の情報にさらされやすい現代では脳のマルチタスクは逃れられない状況であると思います。
これらの現状から「ネガティブな感情」と「マルチタスク」の脳疲労は現代病のひとつになるのではないでしょうか。

60秒の呼吸でセルフケアを
そんな時代だからこそ、脳疲労を軽減させる、またはセルフケアする方法を知ることが大切になるのです。その方法は「マインドフルネス」です。マインドフルネスは「目の前のことに集中する」という意味ですが、1つのことに集中することによってマルチタスクから解放されます。マインドフルネスも様々な方法がありますが、簡単で、基本的なことであり、体にも良い影響のある「呼吸」に集中しましょう。

深くゆっくり行う呼吸は、以下の働きがあります。
1.体内のエネルギーを産生し、老廃物を体の外に出す
2.体温を上げる
3.免疫力を上げる

まずは、ゆっくり鼻で呼吸することに集中し、横隔膜が上下に動いていることを確認します。60秒で8回の呼吸を目安に行ってみましょう。ご自身の楽な間隔で呼吸をしてください。慣れてきたら、自分が心地よいと感じる長さを1日に3回くらい実施してみましょう。

・椅子でもあぐらでも良い
・背筋を伸ばし姿勢良く、リラックスする
・眼鏡や腕時計は外す
・目線は真正面より少し下げ、軽く目を閉じる
・周りの良い空気を吸い込み、体の中の悪い物を吐き出すイメージで呼吸する
・雑念や忘れていたタスクを思い出したりしても、それを考え込まずそのままにする

呼吸は酸素を吸って、二酸化炭素の排出する単純なことですが、私たち生き物が生きていく上で必要不可欠です。デスクワークに集中して前かがみになっていませんか。呼吸に集中してみると普段浅い呼吸をしていたんだな。など気づくことがあると思います。

今月のPick Book!

今回は、1年の終わりに番外編として一編の詩をご紹介いたします。
ニューヨークの病院の壁に書かれていた作者不詳の詩。南北戦争の傷病兵によるものとも言われています。英語の原文(A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED)と別訳も、よろしければお読みください。

「苦難にある者たちの告白」
-ある患者の詩-

大事を成そうとして、
力を与えてほしいと神に求めたのに、
慎み深く、従順であるようにと
弱さを授かった。

より偉大なことができるように
健康を求めたのに
よりよきことができるようにと
病弱を与えられた。

幸せになろうとして
富を求めたのに、
賢明であるようにと
貧困を授かった。

世の人々の賞賛を得ようとして、
権力を求めたのに、
神の前にひざまずくようにと
弱さを授かった。

人生を享楽しようと
あらゆるものを求めたのに、
あらゆることを喜べるように
命を授かった。

求めたものは一つとして
与えられなかったが、
願いはすべて聞き届けられた。

神の意にそわぬ者であるにもかかわらず、
心の中の言い表せない祈りは
すべてかなえられた。

私はあらゆる人の中で
最も豊かに祝福されたのだ。

2022年は、北京オリンピックでの日本選手団の活躍が遠い昔に感じられるくらい、厳しく暗いニュースの多い1年となりました。
現在も収束の見通しの立たないロシアのウクライナ侵攻から始まった不安定な世界・経済情勢は、一個人として平和を考える時にも、企業人として取り組まれている業務の中にも大きな影響を及ぼしているかもしれません。私たちの日々は、思うに任せないことであふれていることも現実です。

そのような中でこの詩の筆者は、難しさや苦しみ中にさえ意味があり、自分の願いは聞き届けられていることに心を寄せて、自分は「あらゆる人の中で もっとも豊かに祝福されたのだ」と書いています。

この12月、皆様は2022年をどのように振り返られているでしょうか。
来る2023年が「豊かに祝福」される1年となりますように!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。