work Delight Picks

天気が良く、暖かい日が多くなってきましたね。年度末に向け、繁忙期を迎えられている方も多いのではないでしょうか。3月は部署異動等別れの季節でもありますが、4月から新しい環境での出会いも待っています。しばらく慌ただしい日々が続くかと思いますが、本メルマガに目を留めて、少しでも皆さんが「Work Happy」になるためのヒントを感じていただければ嬉しいなと思います。-Work Delight Picks編集室より-

HR最前線

「フィードバックループを閉じる」(Closing the Feedback Loop)とは?

「フィードバック」という言葉は、ここ数年来の1on1ミーティングの普及などに伴い、企業内で使われる用語として一般化・定着化してきた感があります。
「フィードバック」という言葉の語源は諸説あるようです。軍事用語として大砲から放たれた玉が、目標地点と着弾地点とでどれだけ差異があったかを砲撃手に伝え、軌道修正を支援する役割の人を「フィードバッカ―」と呼んだことが始まりであるとか、「フィード」は「フード」(Food:食べ物・栄養)が語源で、「相手に対して成長するための栄養を与える」という意味合いであるなどと言われています。

ビジネスの領域においては、「フィードバック制御」という言葉で長らく電子工学やシステム工学の用語として使われるのが一般的でしたが、人材マネジメントとしての使用は上司からメンバーに対して年次の考課結果や次年度の期待を通知する場を「フィードバック面談」と呼んだのが最初であったと思われます。また「フィードバック 書籍」でインターネット検索してみると、ここ数年で人材マネジメント領域におけるフィードバック関連書籍の出版が一気に増えていることが分かり、近年の普及を裏付けたものとなっております。

本稿ではフィードバックにまつわる最新用語として「フィードバックループを閉じる」(Closing the Feedback Loop)という言葉を紹介します。

これは欧米にて、特に社員向けサーベイや顧客向けサーベイを実施した後工程の施策として使われている言葉で、社員や顧客などの回答者からフィードバックを受けた後、それで終わってしまうのではなく、その内容を元に対象者が行動計画を策定し、その内容を回答者にも公開して、実行をコミットするということを意味しています。

私たちがお付き合いしている国内企業様におきましても、近年はサーベイの実施と後工程とをセットで考えられているお客様が多く、本プロセスを自動化するHRテクノロジーも活用しながら、サーベイを実施したことで終わらせない、地に足のついた本質的な人材マネジメント施策が実行に移され始めていることを実感しています。

今年から全ての上場企業に「人的資本開示」が求められることとなり、社員向けサーベイの実施ニーズが高まっていますが、投資家への説明資料の作成で終わってしまうのではなく、開示対応をきっかけとして、実際の現場における実際の行動変容までつなげたいものです。

皆さんの会社では、フィードバックループは閉じていますか?開いたままでいらっしゃいますか?

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

ウェルビーイングでの考察―その2
さて、近年キーワードになっている、ウェルビーイングですが、さまざまな捉え方があるかと思います。心理学的考察からの捉え方や、ポジティブコンピューティングからのアプローチなど。
また、SDGsにおいても、ウェルビーイングが含まれています。
有限である地球環境において、生きとし生けるものがいかにその生を、幸せに全うできるか、難しい社会環境に直面しているからこそ、この言葉が強調されてきているとも言えます。

ということは、自分の幸せとだけというより、周りの人の幸せ、国の幸せ、社会の幸せがあってこその、ウェルビーイングだと捉えることかと思います。

ここまで広げるとなかなか難しい解釈が出てきます。その実現にはいわゆる部分最適的な個のウェルビーイングを考えながらも全体調和も考慮することになってきます。企業においては、心ある人材の活躍、成長を期して、個の尊重が謳われ始めています。それがあってこそ、企業価値の向上が得られるという時代に入り始めています。財務情報一辺倒の企業評価から、加えて人的資本という見方も企業評価に繋がってきています。所謂ヒューマンキャピタルにフォーカスが当たってきています。そこでは、身体の健康、心の健康あってこそ、活躍人材が会社の未来を担えるのだという判断かと思います。

身体、心の健康こそが、ウェルビーイングのポイントということは、その点を企業としても、最重要経営課題の一つとしても良いのではないかと思います。個々人としては、特に心の健康には、意識を持つことが大切かと思います。ワクワク気分で仕事ができているのか、少しでも心の余白を意識して持っているのか、自分に聞いてみるのも良いのではないでしょうか。自身の心身の調和が維持できているかの予防的チェックポイントになりそうです。

著名な経営の先達がこのようなウェルビーイングの考えをすでに持って企業をリードしていたかと改めて気付かされます。ますますこれからの企業経営は、このキーワードこそが、社員のやりがいや幸福度、ひいては企業、またその社会価値を増幅する活動につながるといえるのでしょう。

日常において、弊社では、ワクワク感、心の余白、をキーワードとして自己を振り返るようにしています。日々の忙しい仕事に流され、また予期しないトラブルなどに翻弄される自分を第三者の目線で振り返って、改めて今の自分を見直す習慣の積み重ね、これがとても大切だと思っています。

皆さんの日々の振り返りはいかがでしょうか。

今月のPick Book!

インターネットが普及する前は、多くの家庭の本棚に「家庭の医学」という非常に厚い辞典のような本がありました。今日ご紹介するのは「メンタル版の家庭の医学」と評されている本です。イギリスの心理学者・臨床心理士である著者が、セラピーに来るクライアントに変化をもたらした科学的知識や知恵と実践的なテクニックを広く提供したいという思いで書かれています。自分の状況や必要にあった項から読むことができる、実践的で取り掛かりやすくなっている本です。

<はじめにより>
体の健康を高める方法について書かれた本が薬ではないのと同様に、本書はセラピーではない。むしろ道具箱(ツールボックス)で、さまざまな仕事のためのツールがぎっしり詰まっている。(中略)どの方法も効果が出るまでには時間がかかるので、早々にあきらめたりせず何度も試そう。たった一つのツールで家を建てることはできないし、どの作業にも少々異なるツールが必要だ。それらのツールを上手く使えるようになっても、さらに難しい問題が見つかるだろう。

この本を読めばメンタルの問題が解決するというものではありません。ですが、今自分または身近な人に起きている(だろう)メンタルの状況に対処するための武器として、知識とツールを得るために何度も手に取ることができます。食事に気を付けて適度な運動をする健康的な生活をしていても身体は病気になる場合があるように、本書を読んでいてもメンタルの大きな難しさを向き合い乗り越えられないと感じてしまうかもしれない。それが人間だとも思います。逆説的ですが、それでも、整理された知識に立ち戻ることでもう一度立ち向かっていけるのではとも感じるのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Work Delight Picks vol.14
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今月のPick Book! 街道をゆく1 湖西のみち(朝日新聞出版) 司馬遼太郎著

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今月のPick Book! 全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発(日本経済新聞出版) 守島基博著

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今月のPick Book! (番外編) 「苦難にある者たちの告白」-ある患者の詩- 作者不明