Fuel50 オンラインイベント FuelX アン・フルトン/ジョシュ・バーシン対談 <後編>

3月下旬にFuel50社のオンラインイベントの一環で(COVID-19の影響でオンライン実施となりました)、Fuel50社CEO アン・フルトンとグローバルに著名なHRアナリストであるジョシュ・バーシンのリモート対談が行われました。その動画からの書き起こしを行いました。COVID-19の影響がどうなるのか今よりも不透明であった当時に、アンやジョシュが何を語っていたのか、Withコロナでのキャリア開発や人事の役割を改めて考える上でも非常に興味深いものがあります。
Fuel50社サイトでは既に非公開となっている貴重なコンテンツです。

前回に引き続いて、ジョシュ・バーシンとアン・フルトンの対談をお送りします。
前編はこちら


ジョシュ・バーシン(ジョシュ):リモートワークをどのように成熟させるか、も大きな課題ですね。しかし、私たちが長年取り組んできたものをよい意味で加速させています。「キャリア エクスペリエンス」という考えは、キャリア開発のためのよい考え方ですね。労働力の再分配がいたるところで起きている現状ではキャリア エクスペリエンスはどうなるのでしょうか。Fuel50のもたらす意味も違った意味で重要になると思います。

アン・フルトン(アン): その通りです。私たちはFuelFutureという新しいモジュールをリリースしたばかりです。用途は様々ですが、従業員の再配置に活用することもできます。突然、あなたの能力が別な形で求められることがあるかもしれません。そして、組織全体として誰がどのような能力を持つかを迅速に把握し、活用する機会を与える必要があります。
私たちはFuelGigs(注: Fuel50のモジュール)を用いて、組織横断的な人材のシェアの機会を作り提供しています。例えば現在のイギリスではチェーン店やパブの店員といったホスピタリティの高い人たちの手が空いています。同時にアマゾンではドライバーや荷物の運び手が足りていません。

ジョシュ:これはすべての人のためになりますね。

アン:そうですね。ところで、オンラインのリーダーシップはどのようなものになると思いますか。今までとは違ったものになりそうですね。

ジョシュ:今は誰もが大きなストレスを抱えています。この状況を乗り越えるためには、「共感と思いやり」が第一です。
しかし、オンラインのリーダーシップは対面の場合と似て非なるものとなります。人の話を個別に聴く必要があります。ルールや基準を決め、相手に責任を持たせると同時に相手を信頼しなければなりません。彼ら彼女らが一日中何をしているかわかりません。もしかすると忙しくないかもしれないし、子どもの世話をしているかもしれない…。

アン:そこは特に重要な点です。私たちはこの状況下で、自分の生産性を気にしながら子どもの世話もしなければなりません。
ロックダウン前にロンドンの顧客と会話をしたのですが、この組織のCEOはリモートワークの生産性に疑念を持っていて、まずリモートワークをテストしたそうです。結果、予想以上に生産性が向上してとても驚いたそうです。

ジョシュ:ちょうどこの件について大手銀行と大きな議論をしたのです。彼は在宅勤務の研究結果について尋ねてきました。ネット上には山のように研究結果が掲載されています。私が彼に伝えたのは次の言葉です。「私は在宅勤務はよいものだと証明できますし、それは機能するでしょう。ただ、機能させるためにはあなた自身が努力をする必要があります。あなた自身がうまくいかせるのだという覚悟を決め、従業員にルールやツールを提供しなければならない。通勤時間も無くなるし、生産性が上がる理由はいろいろありますよ。」

アン:私はこの状況下で、生産的で価値があり、またポジティブな状態を維持できる方法を考えています。組織がこのパンデミックを乗り切るために準備すべきことは何でしょうか。

ジョシュ:2~3回の不況の経験に基づいてお話します。まず誰にとっても厳しい状況になるだろうということです。場合によっては人手不足で過重労働を強いられるかもしれません。企業は本来の使命に立ち返り、何をしているのか、なぜそれをしているのかを明確にしなければなりません。なぜなら、今までの挑戦、新製品発売や新しい地域への展開などがすべてストップするからです。そして私は何をしているのか、間違ったビジネスをしているのではないかと考えるでしょう。多くの場合は初心に立ち戻り、「何が自分にとっての成功であったか」を考えることが重要です。
給与計算システムの営業をしている友人がいますが、彼女は先週1本も電話がかかってこなかったそうです。そして誰も給与計算システムを買いたがらない。この会社は新しいシステム以外に顧客が求めるものを扱う判断が求められています。ビジネスとはそういうものですが、多くの会社で同じような危機が起きています。
もしレイオフをしなければならないのなら、誰を、なぜレイオフするのかを慎重に検討し、可能なら減俸や一時帰休にする。また会社の対応と理由を明確に伝えて、残った社員を不安にさせないことが求められます。過去にこういった経験のない人事担当者もいるでしょう。多くの努力が必要です。
そして何よりも多くの人の話を聴くことが重要です。今は「何がわからないのかがわかっていない」。皆が在宅勤務だと、従業員が家族のこと、健康状態など何に対処しているかわかりません。私たちは本当に「聴き上手」になる必要があります。

アン:「共感と思いやりが第一」につながりますね。私たちは課題やストレスに敏感にならなければなりません。私たちが直面している問題は「皆が現状に適応しなければならない」というものです。でも私のビジネスでは、そのために人々が団結して対応する姿を見ることができるのでとても刺激的に感じています。

そろそろ終わりの時間となりました。個人的な視点からお話が聞けてすばらしかったです。
ありがとうございました!


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