日本に足りないのは、専門知識でも技術力でもありません。(略)知識や思考力や勤勉さを総動員し、目の前の問題を解決していくためのリーダーシップを発揮できる人の数が、あらゆる場所において不足しているのです。そして何よりも問題なのは、(略)リーダーシップの総量が足りないという問題が、広く認識されていないことです。
「リーダーシップとは、学び、鍛えるべき資質である」
”出る杭は(すかさず)打たれる”という言葉もあるように、日本ではリーダーシップに対するネガティブなとらえ方もありますが、著者はこれを、「これまでの日本の中央集権的な体制では、少なからずそういう方式しか取れなかったのかもしれません。しかし、今や豊かな国となりニーズが多様化している状況下では、『分散型の意思決定システムが不可欠(略)で、多数のリーダーが必要に迫られている』」、と言います。
紹介されるリーダーシップを鍛える4つの経験のうち、「基本動作3:自分の仕事のリーダーは自分」の「自分が中心となる組織図を使い、『自分の仕事に関しては自分がリーダー』であり、パートナーやマネジャーを含めた関係者をどう使って成果を最大化するのか、それを考えるのがあなたの仕事」であるという例は、今まさに日本で求められている、仕事自律、キャリア自律の分かりやすい例になるでしょう。
「組織とは、所属し、守ってもらうものではなく、率いるものになるのです。」
人材不足が深刻になり個々のキャリア自律が叫ばれる中、リーダーシップは全員が発揮すべき重要な資質とする本書は、マッキンゼーの採用基準を入口してリーダーがなすべきアクション(書内ではタスク)やリーダーシップをどう鍛えるかについて具体的に提言しています。
リーダーとなる人材を採用する方々だけでなく、自身がリーダーとなるべきどんな方々にもヒントとなるのではないでしょうか。