work Delight Picks

全国各地で梅雨明けが発表されていますが、すでに猛暑日が続いている日本…電気代が気になりながらもエアコンを点けたり、冷たい飲み物をたくさん飲んでしまいますが、それらで体の中が冷え、免疫力低下につながります。熱中症にも気をつけながら、ご自身の身体の状態に意識を向け、酷暑を乗りきりましょう。-Work Delight Picks編集室より-

-目次ーーーーーーーーーーー
HR最前線
Feedback for the Brave.」Explorance社ユーザーカンファレンスより
Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報
マインドフルネスのススメ
今月のPick Book!
数学する身体 森田真生著(新潮社)

HR最前線

「Feedbackfor the Brave.」Explorance社ユーザーカンファレンスより

6月後半に、弊社で提供している多面評価(360サーベイ)プラットフォームBlueを開発するExplorance社のユーザーカンファレンス「Explorance World2024」へ参加するために、カナダケベック州モントリオールへ行ってきました。

カンファレンスのテーマは「Feedback for the Brave.」異文化の集まるモントリオールという街で感じたことも多々あるのですが、本日は同じタイトルで持たれたCEO Samer Saab氏によるキーノート講演から書きたいと思います。

これをお読みの皆様は、フィードバックの重要性をよく理解されていると思いますが、講演の冒頭は、フィードバックが機能しなかった3つの例から始まりました。

・ノキア:「携帯電話といえばノキア」といわれるほどであったフィンランドのノキア社が早々に携帯電話事業から撤退することになったのは、社内が「恐怖支配の文化」であったからと言われている

・エア・フロリダ90便:副操縦士が計器異常を何度も訴えたが、機長は耳を貸さずに航空機は墜落した

・スマトラ沖地震大津波:インド洋側の各国では、津波早期警報システムを持っていなかった。地震発生2時間後に発生の大津波にも避難勧告はなく、甚大な被害をもたらした

上記のような大きな悲劇とは言わなくても、組織内でフィードバックが機能していない時に、よい結果を生まないことは想像に難くありません。

では、私たちの組織にフィードバックを活かしていくためには、何をどのように活用していけばよいのでしょうか。講演の中で紹介されたデータを見ていくことにしましょう。
データはすべてExplorance社とリサーチ会社が共同で実施した調査結果です)

社員にとって、社内で展開される様々なサーベイが自身の考えや意見を伝える重要な機会であることがわかります。しかし、サーベイを実施しようとすると社内から消極的な声があがったり、なかなか回答してもらえないケースもあるかもしれません。もう少しデータを見ていきましょう。

社員によるサーベイの回答は私たちの想像以上に正直かつ率直なものであり、回答することやフィードバックを受けることに意義を感じている、感じたいと思っているようです。
それでもサーベイ運用がうまくいかないことがあるのはなぜでしょうか。

サーベイに意義を感じる理由の裏返しのように、「自分がFBしても何も変わらない」と思った社員は回答を止めてしまうようです。また結果が共有されないとしたら、例え私のフィードバックがよい変化をもたらしたとしても、そのことに気づくことができないのです。

サーベイの目的や個人情報に配慮する必要はありますが、サーベイの対象者・対象組織だけでなく、回答者にもサーベイ結果や改善点を共有し、サーベイに意義を感じてもらうことが、組織内にフィードバック文化を生む第一歩といえるのではないでしょうか。

さらにサーベイは「やっただけ」では何も変わりません。サーベイ結果データを分析し、それによって知ることのできた事実や課題に対して、組織やマネージャー個人等の規模に応じた改善プロセスを回すことが重要です。そしてこれはスピード感を持って実施し続けなければなりません。
皆様の組織では360度サーベイ等のフィードバックサーベイは実施されていますか。また、その結果はどのように活用されているでしょうか。「Feedback for the Brave」- フィードバックする側も受ける側も、さらに強い勇士となるためにできることから始めてみませんか。

弊社が提供する「Blue360」の詳細は、実施だけでは終わらない、次につなげるフィードフォワード型サーベイ「Blue360」をご参照ください。

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

米国の最新ホリスティック栄養学に基づく心と体の健康情報をお伝えします。

マインドフルネスのススメ

先日、NHKのあしたが変わるトリセツショーで「新・めい想の取扱説明書」が放送されました。ご覧になられた方もいらっしゃるかと思いますが、「瞑想」はどのようなイメージをお持ちでしょうか?

・宗教的な感じ
・スピリチュアル
・お坊さんにはたかれる
・怪しい

テレビでのインタビューでもこのようなイメージが多いようです。瞑想は、約2,600年前から仏教体系の中にあり、お坊さんのトレーニングとされており、ある意味宗教的なものではあります。しかし、その後の発展、目的や方法は様々です。

NHKの番組では、新・めい想=マインドフルネスと表現していました。瞑想とは、必ずしも静かな場所でそっと目を閉じてじっとしていることだけでなく、歩くことに意識するウォーキングメディテーション、禅寺の食事作法のような食べる瞑想などがあります。どれも片手間で済まさず、その行為に全てを傾けることで、足の上がらないや今日は体の動きが良いなどの身体の状態を認識することができたり、食材ひとつひとつの食感や繊細な味をしっかりと感じ取ったり、食材の命をいただくことのへの感謝や、食卓にくるまでに関わってきた人々への感謝をすることになります。

■マインドフルネスを日常生活の一部にする
「さぁ、瞑想するぞっ!」「瞑想しなきゃ…」と思わずとも、歯を磨くことと同じように生活の流れの一部にしていくことが理想です。

・深呼吸3回する
私たちの心(思考)は、常に過去の出来事・失敗や未来・空想の世界に飛び回っていて、休むことはありません。過去の失敗を後悔の気持ちを引きづったり、まだ見ぬ将来の不安で心がいっぱいになってしまったりしていては、目の前の出来事や心が見えなくなってしまいます。

深呼吸をして心を「今」に戻すことを繰り返すうちに、自然とゆったりとした状態に戻せるようになります。

1日のうちできるだけ頻繁に心の休憩をとることです。打ち合わせの前に、仕事が一段落したら、お風呂の湯舟に浸かったら、食事の前になどに3回深呼吸して、呼吸に意識をむけます。慣れてきたり、時間があるときは、5回・10回・5分・10分と続けてみると良いです。その間に色々な思考(やらなくてはいけないことや周りの音など)が出てきたら、呼吸に意識を戻すことを繰り返します。思考を止めることや頭の中を無にすることはできません。浮かんでくる思考を認識し、「今」の呼吸に戻ることを繰り返し行うと、ひっきりなしに考え続け、悩み続ける習慣から抜け出せます。

あしたが変わるトリセツショーでは、マインドフルネスの基本から日常生活で取り入れられるカジュアル瞑想の紹介がされています。
詳細は、あしたが変わるトリセツショー番組HP(外部サイト)をご覧ください。

今月のPick Book!

数学する身体
森田真生著(新潮社)

“ダース”という単位が不可解だった。
幼い頃、12という中途半端な数字を、あえてまとめる意味が分からなかった。
ひとまず、1年が12ヵ月であることや、時計も12時間単位であることに思いを巡らしたが、やっぱり単位は10とかでいい、と思った私は、ダースは古くから使われていたせいで残った、因習に過ぎないのだろうと思った。
しかし、あれは誤解だったのかもしれないと、この本を読んで思う。

森田真生著『数学する身体』は、”数学”(およびそれを表象する数字や記号)が織りなす論理の世界と、”身体”(およびそれが生み出す情緒)という生命の場のあいだに存在する、不可分な結びつきを詳らかにする。

例えば、本書では「スービタイゼイション」という能力が紹介されている。これは、目の前のものの個数を直感的に把握する能力であり、人間は生まれながらにして備えているという。しかし、その認知的な限界は3〜4個程度であり、それ以上の個数を把握するには「数える」という行為が必要になる。数学の基礎となる数の把握も、やはり身体的な制約を受けているのだ。

ここからは完全に私の想像だが、12という数字を単位にする意味もここにあるのではと想像してしまう。多くのものを表す単位や、明確な区切りが難しい時間を表す単位は、直感的な数字感覚に裏打ちされている必要がある。人間にとって直感的に把握できる3や4を約数として持つ最小の数である12は、まさにこの条件を満たしている。もちろん、1年が12ヵ月であることなどは、月の満ち欠けが1年に約12回であるという自然を観察して得られる事実も、それが単位として受け入れられた大きな理由だろう。

つまり、12という数字は非合理的どころか、むしろ我々を取り巻く自然、我々自身の身体、そして数の性質が奇跡的に重なり合った、極めて合理的な単位と言えるのではないか。そんな想像が膨らむ。

本書は、数や記号と身体の関係性だけでなく、コンピューター研究の先駆者であるアラン・チューリングや、数学者岡潔の人生と思想についても紹介している。彼らは、数学を単なる学問としてではなく、人間存在の根源を探求するものとして捉えていた。

ダースという単位に疑問を抱いてから、もうすぐ干支も二回りする。
月日が流れ、不意にこうした発見があることは、嬉しい誤算だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

vol.31  2024/07/24発行

【発行元】タレンタ株式会社  Work Delight Picks編集室