2024年も残りわずかとなりました。どんな1年でしたか?良いことも良くないことも1人1人違ったストーリ―があると思います。その時は受け入れられなかったことも、時間が経つにつれ冷静に客観的にみることで、自分に必要なことなのかもしれない、ここで学ぶことがあるのかもしれないと気づくことがあります。新年に向け、心のスイッチを切り替えていきましょう。-Work Delight Picks編集室より-

-目次ーーーーーーーーーーー
HR最前線
 〜今年の振り返り&来年の展望〜
Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報
ウェルネスとは?より良い自分になるためのライフスタイル
心も体も健やかに!ウェルネスな毎日を始めよう
今月のPick Book!
働き方全史: 「働きすぎる種」ホモ・サピエンスの誕生  
ジェイムス・スーズマン著, 渡会圭子(訳) (東洋経済新報社)

HR最前線

〜今年の振り返り&来年の展望〜
今年は生成AIの社会実装が飛躍的に進んだ1年となりました。2022年11月に米OpenAI社がChatGPTを発表して満2年が経過しましたが、この1年で組織全体での活用を進めている企業が急増していることを実感いたします。各企業の方々にお伺いすると、ChatGPTとMicrosoft Copilotの利用が半々といったところでしょうか。中にはセキュリティ懸念で様子見の企業もいらっしゃいますが、おいおい浸透していくのは時間の問題かと思います。

生成AIの活用により、人が課題を与えるとAIが答え(行動案)を瞬時に導き出してくれる時代になりました。新たな人とAIとの協働は、AIが情報収集/情報分析・整理/行動案の立案を担当し、人が課題発見(仮説立案)/行動案の決定/実行(他者の巻き込みを含む)を担当するということになります。

また合理的に判断するAIの進化により、時には気持ちや感情で意思決定して行動するといった、人特有の「非合理性」がより着目を浴びていく時代になるのではと思います。

HR領域における業務課題の解決は、人特有の「非合理性」を踏まえる必要があるため、テクノロジーのみで解決できる範囲が、数ある企業課題の中でも比較的狭い領域でありますが、この傾向はAIが進化してもきっと変わらないでしょう。さらに日本の人材マネジメントは北米に比べると「非合理性」が高いため、人特有の「非合理性」を踏まえた人とAIとの協働モデルは、世界をリードできる可能性があるのではと考えます。

要はHR領域においては、人がやらなければならないことは引き続き沢山あるということです。弊社としては来年度も引き続き、ピープルサイエンス(心理学)の知見も活用して、HR領域における人とAIとの境目を追求していき、新たな人とAIとの協働の形を示していきます。

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

ウェルネスとは?より良い自分になるためのライフスタイル
心も体も健やかに!ウェルネスな毎日を始めよう
今回はこのタイトルにもある“ウェルネス”についてお伝えいたします。

●ウェルネスとは?
「ウェルネス」とは、単に「健康」という意味にとどまらず、「心身ともに今よりも良い状態で生活を送ること」を指します。

具体的には、
身体的健康: 栄養バランスの取れた食事、適度な運動、質の高い睡眠など
精神的健康: ストレス管理、心の安定、ポジティブな思考など
社会的な健康: 人との良好な関係、社会参加など

これらの要素が相互に影響し合い、総合的な健康状態を形成します。

●ウェルネスな生活の3つのこと
ウェルネスな生活を送るために、特に重要な3つの要素として、「食べること」「眠ること」「動くこと」が挙げられます。

■食べること
人は生きていくために食べることは重要なことです。味を楽しむこと以外で人が食べるのは、以下の2つが主な理由です。
①身体を動かすためのエネルギー
②身体の組織の原材料

①は空腹感によって補うことは簡単ですが、②の血液、骨、皮膚、毛髪、臓器など人間の体の細胞の原材料となるたんぱく質やミネラルの不足は自覚しにくくなっています。

■眠ること
なぜ人間は8時間も眠る必要があるのか。
①身体の休み:仕事や家事、日々の活動によって疲れた体を休め、メンテナンスするため
②脳の休み:常に思考が働いている(WorkDelight Picks vol.12の脳疲労についてもご参考に)を回復するため

■動くこと
運動が苦手な方やできない方もいらっしゃると思います。生活の中で少し負荷をかけること、1~2階の移動はエスカレーターやエレベーターでなく階段でとか、駅からの帰り道を少し遠回りしてみるとかから始めてみましょう。ウォーキング、ジョギング、ヨガなど、自分に合った運動を見つけて続けましょう。

ウェルネスは、今の状態をより良くするためのライフスタイル何か特別なことをするのではなく、自分にフォーカスした日々の生活の中にあるのです。

例えば、
朝起きたら、窓を開けて深呼吸をする
仕事の合間にストレッチをする
好きな音楽を聴きながらリラックスする
新しいことを始める
このような小さなことから、自分がワクワクすることから始めてみましょう。

 

日々の生活の中にウェルネスを取り入れることで、仕事のパフォーマンス向上やストレスの軽減、そしてより充実した人生を送ることができるでしょう。

ぜひ、ご自身のライフスタイルに合ったウェルネス習慣を見つけて、実践してみてください。

今月のPick Book!

ビジネス本などの単行本から、編集室のお薦めを解説交えてお伝えします。

働き方全史: 「働きすぎる種」ホモ・サピエンスの誕生
ジェイムス・スーズマン著, 渡会圭子(訳) (東洋経済新報社)

「時代の変化が加速している」

そういう類の言葉は昔からあったのだろうが、最近のAI技術の進歩を鑑みると、いま以上に変化が加速している時代も中々ないのではないだろうか

例えば、今月12月5日(米国時間)にOpenAI社が発表した「o1 pro mode」と呼ばれるAIモデルは、ついにIQテストにおいて人間の平均的な知能指数である100を超えるスコア110※1を記録したというデータがある。もちろん、IQというのは人間が持つあらゆる能力のうちの一側面に過ぎないが、こうしたAIの急速な進歩を知ると、一部のメディアや界隈で噂される、人間と同等の知能を持つとされる人工知能、AGI(汎用人工知能)の登場にもかなりの現実味を感じてしまう。

こうした状況について個人的には、テックオタク的な興味をたいへん刺激される一方、資本主義社会の片隅で、ひとりの雇われ人として生きている身として気になるのは、果たして自分の仕事を、かくも優秀なAIが代替してしまわないかということだ※2。

「現在、こうした変化の急速さが私たちを苦しめ、解決すべき困難な問題をもたらしている。(中略)読者の中には、まだその名を聞いたことがない人もいるかもしれないが、これから数年のうちによく耳にすることになるであろう新しい病、すなわち技術的失業に悩まされているのである。技術的失業とは、労働力を節約する手段の発見が、労働力の新たな用途を見つけるペースを上回ることによる失業のことである。[引用者訳]」

唐突な引用で恐縮だが、このいささか悲観的な、そして予言めいた文章が、実は今から90年以上も前に、ある経済学者によって書かれたものだと知って、驚く方も少なくないかもしれない。20世紀を代表する経済学者J.M.ケインズは1930年に『わが孫たちの経済的可能性』という小論で、急速な技術革新と資本の蓄積によって、来るべき100年以内(つまり2030年まで)には経済問題が解決され、人々が働く必要はなくなるという大胆な予想をしている。そしてとりわけ興味深いのは、上記のような技術的失業はむしろ一時的な問題とする一方、数多くの世代を通じて培ってきた仕事や労働に対する習慣・価値観からの変容に私たち人類がどう向き合うかという点に本質的な問題を見出していることだ。

今回紹介する書籍『働き方全史』は、そんなケインズの問題意識を共有しつつ、果てしない人間の欲求と限りあるリソースというバランスによって駆動してきた現代経済社会のオルタナティブとして、アフリカ南部カラハリ地方の狩猟採集民ジュホアンの生活を紹介している。ジュホアンのような狩猟採集の生活は、一般的に抱かれがちな飢餓のイメージに反して栄養状態がよく、人類史的にも農耕社会の人々より長生きの傾向があるという。また、週に15時間ほど、食料などの最低限の物質的欲求を満たすために働き、彼らはその他のほとんどの時間を休息と娯楽に費やすという豊かな生活をしているという。

では、いったいなぜ物質的にはより豊かであるはずの現代の私たちが、狩猟採取時代の祖先たちよりも忙しく働いているのだろうか。果たして私たちにとって、「働く」とはいったい何なのだろうか。本書はそんな問いについて、人類学をはじめとして物理学や生物学、動物学などの多様な視点から紐解いていく。

新しい年、そして新しい時代に向けて、本書を通じて「働く」ことについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。

※1これまで、オンライン版のIQテストについては、複数のAIモデルがスコア100を超える成績を記録していたが、それらのAIモデルの学習データには当該IQテストのデータが含まれている可能性が指摘されていた。今回は、学習データの影響を無視できるオフライン版のIQテストにおいて初めて100を超えるスコアを記録したとのこと。
※2実際、アメリカのネット掲示板Redditなどでは、AIに仕事を奪われた事例が多く報告され始めている。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

vol.36 2024/12/20 発行

【発行元】タレンタ株式会社  Work Delight Picks編集室