work Delight Picks

酷暑と豪雨の夏、これに尽きてしまわない別な話題を。
目標管理や評価が落ち着く夏は、360度サーベイやエンゲージメントサーベイ等の全社規模サーベイの旬の季節でもあります。マネージャーや組織、または自分のために回答した方もおられるのではないでしょうか。
その結果はフィードバックされましたか?さあ、フィードバックとネクストアクションの秋へ!-Work Delight Picks編集室より-

-目次ーーーーーーーーーーー
HR最前線
第39回産業・組織心理学会大会(オンライン開催)レポート
Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報
ホリスティックに生きる①~すべては心からはじまる~
今月のPick Book!
世界はシステムで動く ~いま起きていることの本質をつかむ考え方~
ドネラHメドウズ(著), 枝廣淳子(訳)(英治出版)

HR最前線

第39回産業・組織心理学会大会(オンライン開催)レポート

皆さんは「産業・組織心理学会」という学会組織をご存じでしょうか。この学会は、日本で産業・組織心理学や経営学等の研究をしている研究者や法人での研究員、法人会員等で構成された学会です。
今月のWork Delight Picksでは、産業・組織心理学会第39回大会についてご紹介します。学会サイトはちら

■学会の大会って?
大会とは学会員自身の研究を発表し、学会員同士で研究内容の議論を自由に行ったり情報交換をしたりと、学術研究の質を高めると共に、互いの交流を深める場です。産業・組織心理学会では大会が年に1回開催され、ワークショップやシンポジウムなどが企画されています。

しかし、今年は台風10号の影響で急遽オンライン開催に変更され、ワークショップや研究発表のセッションはZoomで開催されました。

■360度評価フィードバック後、社員の行動変容には何が必要なのか?
今回の大会の発表内容の中から360度評価フィードバックに関する研究をご紹介します。

人材育成において、360度評価のフィードバックだけで終わらずに、フィードバックを受けた社員の行動が変わることを期待する方は多いでしょう。一方、現場としては評価のフィードバックがあっても「何か行動を変えたほうがいいだろうけど、忙しいしやらなくてもいいか…」と思うのではないでしょうか。このような社員にどうアプローチすればいいのかを検討する研究でした。

この研究のベースになるのが、「行動変容ステージモデル」です。人の行動変容は「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」の5つの段階を経ているとされています。この研究は、360度評価による行動変容の促進要因を探索するとともに、その行動変容のプロセスもこの理論で説明できるかどうかという視点で実施されました。

研究結果からは、フィードバック面談後、上司と合意・設定した行動の継続や、社員自身が行動変容を実感するには以下の内容が必要だと示唆されました。

  • 本人の納得感:360度評価をフィードバックした時点の、その評価が本人の現状を表していると本人が思う度合い
  • 周囲のメンバーからの反応:フィードバック時に上司と設定した行動をメンバーに共有し、本人が実践した結果、メンバーからポジティブな反応を得られた度合い

これら2つは本人の成長への意欲を促進し、周囲との関わりが本人の実践を促進したり、変化への自信を醸成し、行動の継続性を支えるという可能性が見出されました。

360度評価・フィードバックのような実務の分野について、学問的な側面から検討した研究は非常に面白いです。Work Delight Picksをお読みの皆さまの中で、人事に関する研究にご関心のある方は、学会への参加や論文をお手に取ってみてはいかがでしょうか。

紹介研究:
宮澤俊彦・今城志保(2024).360度評価フィードバック後の行動変容に関する一考察,産業・組織心理学会第39回大会発表論文
参考:
行動変容ステージモデル HRペディア「人事辞典」

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

米国の最新ホリスティック栄養学に基づく心と体の健康情報をお伝えします。

ホリスティックに生きる① ~すべては心からはじまる~

タレンタは、「Work Happy!な世の中を創る」をミッションとし、Work Happy!は「自身の仕事に誇りを持ち、仕事の遂行により充実感や幸福感が得られていること」と考えています。それには、社員だけではなく、社員の家族、パートナー、友人etc周りの人たちも健康であることがベースにあります。その健康は、体だけでなく、心の健康が重要です。
「ホリスティックに生きる」は、ホリスティック栄養学を学んだカレッジの校長の言葉です。ホリスティックは体・心の両面の調和です。今、生きている自分の心の状態を知り、体や環境をより良いものにしていくこと。それが「ホリスティックに生きる」ことだと思い、タレンタの「Work Happy!」につながります。

■ホリスティックとは?
ホリスティックとは「全体的な」という語源から、医療、栄養学、精神など人の健康は「心(マインド)、魂(スピリット)、体(ボディ)」の全てを総括的な観点で、心と体の全体的なバランスを整えることで、体が持っている本来の自然治癒力を高める、健康定義と言えます。

■あなたは何でできている?
あなたを構成しているのは「心(意識)」と「体(細胞)」です。
私たちの体は約60兆~100兆個あると言われる細胞でできています。体は細胞が適切なタイミングで適切な量の栄養素を受け取ることで、細胞が適切な役割を全うすることで最適に(健康に)機能しています。そしてその細胞たちは、心の状態によっても影響されているのですが、見えない心の世界を理解するには、物質の世界にいる私たちにとって難しさを感じてしまいます。

「病は気から」ということわざがあります。「気」とは、辞書で調べると
1.宇宙と人間の根底にあるとされるエネルギー。生命の活力
2.精神・感情の働き
3.心の働き
というのがあてはまりそうです。

1.のエネルギー、生命の活力は、どこからきているのか。
私たちの体の細胞の一つ一つを見ていくと、さらに小さな「分子」という粒の集まりになります。さらにこの「分子」は、もっと小さな「原子」という粒の集まりになります。「原子」とは、学生時代に理科/物理で学んだ元素周期表の水素、炭素、酸素などです。

原子の中心には「原子核」があり、陽子と中性子でできていて、その原子核の外側を電子が高速で飛び回っています。原子を構成する陽子・中性子・電子は物質の中でもっとも小さな粒(素粒子)です。私たちの体を含め物質は、止まっているように見えて、実際は原子核の外側を高速で回る電子という動き=エネルギーに満ちています。(原子のイメージ→)

これらの素粒子は、粒子としての性質ととしての性質を併せ持つことが知られています。この波動性は、量子力学の重要な概念であり、物質の振る舞い、特にミクロな世界での振る舞いを理解する上で不可欠です。量子力学によれば、すべての物質は、ある種の波動性を持ち、その波動性が物質の性質に深く関わっています

この「波動」がどう健康とつながるのかを次回、お伝えしたいと思います。
(物理学科出身のメンバーが校正してくれました…感謝)

今月のPick Book!

ビジネス本などの単行本から、編集室のお薦めを解説交えてお伝えします。

世界はシステムで動く ~いま起きていることの本質をつかむ考え方~
ドネラHメドウズ(著),枝廣淳子(訳)
(英治出版)

今回紹介させていただく本は「世界はシステムで動く~いま起きていることの本質をつかむ考え方~」です。みなさんは「システム思考」という言葉を聞いたことはありますか。この本の表紙には大きな氷山が描かれています。水面からちょっとだけ見えている氷山の下には、見えている氷山よりもずっとずっと大きな氷山が存在しています。

見えている結果ばかり見ていては本質は捉えられません。日々世界中や私たちの家族や会社など身の回りでもさまざまな出来事が起こるでしょう。そういった「出来事」に一喜一憂し、後手に回って対応するのではなく、目の前の出来事が全体像中のどの一角なのか、その全体を作り出しているのはどのような構造なのかを考え、見抜くことができるとしたら良いと思いませんか。

システム思考は、全体像の捉え方とそこに対する打ち手を示唆してくれます。システム思考の実践は、政府や企業経営での政策や戦略策定のレベルから、市民の家庭や職場での日々の問題解決のレベルにまで多岐に渡ります。著者のドネラ・メドウズは「世界がもし100人の村だったら」の著者でもあり、複雑なものごとを分かりやすく伝えることに長けています。物事を捉える上で、氷山の一角だけではなく、全体像を捉えることに興味をもった方はぜひ、この本を手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

vol.33  2024/09/24発行

【発行元】タレンタ株式会社  Work Delight Picks編集室