work Delight Picks

ゴールデンウィークが明け、立夏が過ぎ、夏の空気を感じる時期となりました。
新緑が鮮やかなこの時期は、公園に咲くバラやショウブ、ツツジも美しいですが、道端のタンポポやシロツメクサも太陽の光を受けて、かわいらしく咲いています。
オフィスや買い物に行く道にある自然の色やコントラストに目を向けてみると、意外な発見があるかもしれません。在宅ワークの方もオフィスワークの方も外に出て、新鮮な空気と一緒に、自然に触れてみてはいかがでしょうか。-Work Delight Picks編集室より-

-目次ーーーーーーーーーーー
HR最前線
世界中で重要性が増す“スキルベースな組織”と、それを支えるテクノロジー
Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報
メンタルケアに必要な食習慣
今月のPick Book!
ふだんづかいの倫理学 平尾昌宏 著(晶文社)

HR最前線

世界中で重要性が増す“スキルベースな組織”と、それを支えるテクノロジー

近年、経営環境は急速に変化しており、企業は生き残るために絶えず進化する必要があります。その鍵として注目が集まっているのが、社員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる「スキルベースな組織」です。今回は、スキルベースな組織の重要性と、それを支えるテクノロジーについて詳しく解説します。

スキルベースな組織とは何か?
スキルベースな組織とは、社員のスキルを基軸に人材マネジメントを行う組織形態です。従来のジョブ型組織では、職種ごとに必要なスキルを定義し、それに合致する人材を採用・配置していました。しかし、現代のビジネス環境では、変化のスピードが速く、必要なスキルも常に変化しています。そのため、ジョブ型組織では変化に対応しきれないという課題があります。

一方、スキルベースな組織では、個人のスキルを可視化し、必要なスキルと現在のスキルとのギャップを明確にすることで、一人ひとりに最適な学びやキャリアパスを提供することができます。また、組織全体のスキルを把握することで、必要な人材を的確に配置したり、新しい事業に迅速に対応したりすることができます。

「ジョブ型組織」の鈍重さ・非効率性が課題になっている欧米企業において、このテーマは特に重要視されています。実際、昨年のHR Tech Conferenceにおいても各ベンダーが競い合うように“Skill”に関連するマーケティングメッセージを発信しており、一番のバズワードと言っても過言ではないレベルでした。

なぜ今、スキルベースな組織が重要なのか?
スキルベースな組織が重要である理由は、主に以下の3つが挙げられます。

  • 経営環境の変化への適応:前述の通り、現代のビジネス環境は急速に変化しており、企業は生き残るために絶えず進化する必要があります。スキルベースな組織であれば、個人のスキルを基軸に人材マネジメントを行うことで、変化に柔軟に対応することができます。
  • 人材育成の効率化:従業員のリスキルや全員戦力化といったテーマも重要な課題の一つです。ただ単に研修コンテンツ・システムを見直すだけでなく、個々人のスキルと各部署に求められるスキルを可視化することで、スキルギャップを特定し、より効果的な施策を検討できるようになります。
  • 社員のエンゲージメント向上:スキルの可視化は社員一人ひとりの尊重にもつながります。これにより、社員のエンゲージメントが向上し、組織全体のパフォーマンス向上が期待されます。

従来、スキルベースの組織運営を行うことは、従業員のスキル情報をリアルタイムで収集・分析する運用負荷が高く、不可能に近い状況でした。しかし近年、AIを活用したスキルテック製品が続々と登場しており、スキルデータの収集・分析を効率化することが可能になっています。代表的なスキルテック製品をいくつかご紹介いたします。

Fuel50
過去にもご紹介したニュージーランド発のタレントマーケットプレイスプラットフォーム。従業員一人ひとりに対して最適な研修・空きポジションのレコメンドするために、「Talent Blueprint™」をはじめとしたスキル定義の整備を支援する機能群も併せて提供しています。AIによる自動化だけでなく、専門家チームによるレビューを組み合わせることで、成果物の品質に重点をおいたアプローチを取っていることが特徴的です。

TechWolf
ベルギー発のHRテクノロジーベンダー。コミュニケーションツールやプロジェクト管理ツールと連携することで、従業員の実際の業務情報からスキルデータを自動的に収集し、タレントマネジメントシステムや研修管理システムに反映することができます。

スキルベースな組織の重要性は今後更に高まっていくと予想されます。その実現を加速するための一歩として、AIを活用したスキルテック製品の活用をぜひご検討されてみてはいかがでしょうか?

”Work Happy!”を実現する最新ウェルネス情報

米国の最新ホリスティック栄養学に基づく心と体の健康情報をお伝えします。

メンタルケアに必要な食習慣
ゴールデンウィークも終わり、今年は急激に気温が高くなる日があったり、涼しくなったりと不安定な日々が続いています。4月から環境の変化があった方も変わらない方もなんとなく体の不調を感じる頃かと思います。体の不調をはじめ、メンタルの不調も突然起こるものではないとされています。コロナ後の働き方が変化したり、様々な慣習が変化している最中にいます。新しいことを受け入れることもメンタルが健康でなければ、難しい時もあります。病気もメンタルも自分でケア(予防)する時代です。

精神的な疾患(うつ病など)は心身の限界を知らせるサインであるため、頭が痛い、肩がこる、眠れないなど身体の様々な症状が出ています。この身体のアンバランスな状態が慢性化して最終的にメンタルに関連した症状が現れるのです。

エネルギー源となる三大栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂質)のカロリーを十分に摂取しても、人の身体を動かすエネルギーは作られません。人の生命活動におけるエネルギーとは、細胞内のミトコンドリアで作られる「ATP(アデノシン三リン酸)」です。三大栄養素からATPを作るためにはビタミンB群や鉄、亜鉛、マグネシウムなど様々なビタミンやミネラルが必要になります。またメンタルに関連する神経伝達物質であるドーパミン、セロトニン、GABAなどを合成するにはたんぱく質、鉄、ビタミンB群が特に必要とされています。

生命活動に必要なエネルギーの材料となるたんぱく質、良質なアブラ(亜麻仁油など)、炭水化物とともに色々な種類の食材を使って、健康的な体とメンタルを作っていきましょう。

今月のPick Book!

人事・心理学などの書籍・記事から、編集室のお薦めを解説交えてお伝えします。

ふだんづかいの倫理学
平尾昌宏 著(晶文社)

今回、紹介する本は『ふだんづかいの倫理学』です。

「倫理学」と聞くと、なんだか堅苦しく、自分の生活とはあまり関係のないイメージを持たれるかもしれません。
しかし本書は、
「倫理学の常識を無視した分かりやすさで、しかも倫理の全体が見渡せて、なおかつ、普段の生活や趣味やビジネスに活かして使えるという、ぜいたくなものです。」
という、少々おどけた「まえがき」の言葉どおり、分かりやすさ、そして、ふだんの生活での有用性も兼ね備えた、非常におトクな本です。
本書では、『サザエさん』や『半沢直樹』といった漫画やドラマを例に扱いながら、正義や愛、自由といった概念をテーマに、倫理学の考え方を分かりやすく解説してくれます。
また、
「倫理観(道徳観)って人それぞれだし、勉強する意味あるの?」
「道徳とかって押しつけがましくて嫌い」
「そもそも倫理学なんて役に立つのか?」
「はたして倫理学に答えはあるのか?」
といった、誰もが抱く疑問や感覚についても、著者はひとつひとつ丁寧に答えていきます。

近年、ビジネスの世界においても、コンプライアンス、CSR、経営倫理といった言葉に代表されるように、倫理学の考え方が重要視されるようになっています。
皆さんもぜひ本書で、ユルく、それでいて真面目に、ぜいたくな読書をしてみませんか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。